>ストーリー

ゆめまぼろしに浮き漂うこと千年――――。
人の編み出した巫術と呼ばれる力は、天地の理をも統べ、
天に向かい築き上げられたいびつで巨大な都は、
「結界」により平安を約束されていた。
あらゆる災いから隔絶したその地で、
人々は栄華に酔いしれ、安寧の内に埋没した。
その茫漠たるまどろみは、未来永劫続くかに見えた。
だが、ゆめまぼろしはいずれ泡と消えるもの。
「結界」は砕け、栄華の時は末葉を迎える。
外界より流れ込んだ災いの奔流は、
一人の巫術士の働きにより治められたものの、
争乱の後に残されたのは、もはや都とは呼べぬ、
瓦解し荒れ果てた跡形のみであった。
かくて、時の朝廷は、遷都を行う事を決する。
しかし、あたかも長きに渡る安寧の代価であるかのように古き都を捨て、
降り立った大地の底には、淀んだ気が澱のように溜まり、
無数の異形のモノどもが跋扈していた。
「結界」を失い衰えた朝廷は、それを贖う術を持たなかった。
もはや止めることは叶わぬと思われた。
人の世の落日――――。
それを押し留めたのは、一つの宝珠の力であった。
「白珠」という名のそれから溢れ出した白き瑞光は、
大地の淀みを全て押し流していった。
遷都の成就を祝いつつ、民衆は再び千年の栄華に思いを馳せた。
――――光に惹かれた者の目に、その陰は入らない。
「白珠」が呼び込んだものは、恵みだけではなかった。
闇は、まばゆい光の陰に潜み、
かりそめの平安を打ち破ろうかと密かに胎動していた……。