>インタビュー

ファミ通XBOX9月号、プロデューサー「竹内将典」氏

―― 企画スタートはいつからだろうか?

「企画そのものは、前作発売直後あたりから。販売本数としては、
結果として思ったほどではありませんでした。
しかし、ゲームに対して真剣な方が多いXboxのユーザーさんからの
評価は高かったんです。また、フロム・ソフトウェアがあるから、
とXboxを購入していただいた方もいらっしゃるので、
なんとかソフトを継続的にリリースしていきたかった。
そこで、続編を出すなら、これまで出したXboxタイトルの中では
「O・TO・GI〜御伽〜」がいいのでは、と。」

―― 「O・TO・GI〜御伽〜」の続編にあたるが、
タイトルがなぜ「O・TO・GI 2」ではないのか?

「"2"とつけると、"和風"という「O・TO・GI」の世界観に合わない。
また、どういったゲーム内容なのかが伝わるものがいいなあ、と」

―― すると「百鬼討伐絵巻」というからには、
前作以上に敵をバッタバッタと倒すということ?

「前作の続編にあたりますので、前作のコンセプトである"破壊"と
自由度の高いアクションという部分を数段高めよう、という意味はあります。
前作では、Xboxの性能についてはまだ手探り状態でしたが、
いくつかタイトルを作ってきた経験をフィードバックさせているので、
グラフィック、破壊の演出、敵のAI思考など、
すべての面でパワーアップしています」

―― 「百鬼討伐絵巻」の新要素は、第一にもちろん主人公。
この主人公をもっと知りたい!

「前作の主人公・ライコウは、記号的な表現をすると
"サムライ"だったわけですが、続編である「百鬼討伐絵巻」では
"平安時代"を象徴するまた違ったキャラクターがいないかな、
と考えていました。そこで"陰陽師"の登場となりました。
阿倍晴明というキャラクターを押し出して、
前作とは違ったアプローチ……"侍”ではなく"陰陽師"という部分での
破壊表現、戦い方、アクション性、ゲーム性
というものを楽しんでいただけるんじゃないかな、と思っています」

―― 前作に比べると、セリフもあり、顔も見せ、
実在の"安部晴明"の名前をフルに使用(?)している今回の主人公は、
非常にキャラクター性を前面に出している気がするが……。

「そういうアプローチは、確かに入れています。
前作のライコウというキャラクターが好き、というユーザーさんもいました。
しかし、もう少しキャラクターというものが前面に出たほうがよかった、
という要望も多かったんです。
そこはユーザーさんの好みというのがあるんですが。
そこで、今回は安部晴明というキャラクターを使って、
そういったキャラクター性という部分も出せればいいなあ、とは考えています。
また、先ほど言ったように前作のライコウが好きだ、
という方もいらっしゃいますので、
そういった方には別の形でフォローできる要素を入れています」

―― 安部晴明とライコウの違いって?

「安部晴明のもともとのイメージは"白拍子さん"なんです。
だから、どちらかといえば舞うように敵を倒したり、
優雅に敵をさばく、という感じです。
前作のライコウは力強く敵を吹き飛ばしていく
"力"のイメージが強かったと思うのですが、
安部晴明はどちらかというと"技"のイメージ。
もう少し優雅で曲線的なイメージです。
和風という世界観ではひとつの特徴的な部分だと思うのですが、
こういう面が新しく楽しめるようになれば、と考えています。
また、こうした特徴はアクションにも反映されます。
前作とは違った、舞うような技を見せつつ、
ダイナミックに建物などは壊していく、というのは前作同様……
というより、じつは前作よりもすごくなっています。
結果として"破壊"という表現は同じなのですが、
そこに至るまでのプロセスが違っている。
結果的には"破壊"であるものの、前作とは異なるプロセス、
アプローチで壊れていくので、またちょっと違った印象、
爽快感というものがでてくるはずです。
とにかく「百鬼討伐絵巻」はアクションゲームの続編なので、
"アクションとしてできること"というものも、
今回はいろいろと増やしています。
それら"アクションとしてできること"として増やした部分も、
ゲームをしていく上での駆け引き、
ゲームの自由度の幅というものを広げていると思います。
そのあたりは、プレイしていただければ
前作と違う印象を持つのは間違いないと思います」

―― 「O・TO・GI」といえば平安時代をモチーフにした美しいステージ。
新ステージの特徴は?

「前作は、平安時代というものを舞台にはしていたのですが、
直接的に"平安時代"をグラフィックとして掲示する、
という意味では弱かった。今回は、平安時代の世界観、
そしてキャラクターが陰陽師である、という点からも、
"平安京で活躍しているキャラクターです"、"平安京の世界です"、
"平安京のストーリーです"というものをやろう、と思っています。
そういった意味で、平安京をまるまる、というわけではないのですが、
その一部を忠実に再現している、あるいは平安京そのものをイメージさせるか、
ほぼそれに近い状態にさせる、という舞台を作って、
その中でキャラクターを活躍させます。
グラフィックの面では、より平安という世界観が感じられるものになります。
誰が見ても平安京、あるいは平安時代に近い、
というのはわかっていただけると思います。
けっきょくぶっ壊しちゃうんですけどね(笑)」

―― 「百鬼討伐絵巻」の新しい要素は主人公だけではない!……はず。
システム面でも進化が見られると思うのだが、はたして……?

「前作も、アクションゲームとはいえ、
キャラクターの成長要素がありましたね。
前作は敵を倒して経験地を得てレベルアップしていくことで強くなっていく、
という、ある意味オーソドックスな成長様式をとっていました」
―― すると、「百鬼討伐絵巻」では、
前作とは異なる成長システムが用意されている?
「前作とはその点は違います。今回は、プレイヤーが自分のプレイスタイルで
キャラクターを成長させることができる、というシステムを構築しています。
ですから、前作よりも自由度の高い成長のさせかた、というか、
自由度の高いアクションのプレイのしかたが可能になっています。
それに先ほどの安部晴明自身の前作とのアクションの違いもありますので、
前作をやりこまれた方も、新鮮な気持ちでプレイできると思います」

―― イラストと画面写真を見ると、安部晴明の武器は扇のようだが、
ほかの武器に持ち替えることはあるのだろうか?
大検を振り回す安部晴明はちょっと想像し難い。
それに黄泉津比良坂姫による武器売買が
「百鬼討伐絵巻」にもあるとは思えないが……。

「基本的には、前作にあった要素というものは、だいたいあります。
ただし、前回と同じアプローチを今回もユーザーさんにしているか、
というと、そのあたりは少しアレンジしています。
しかし、前作でできたことは、今回もほぼできると思っていただいていいです。
続編なので、"前作でできたことができなくなり、代わりに新しい事ができる"
というよりは、"前作でできたことは今回もできる、
そのうえで新しくこんなこともできるようになりました"というほうが、
ユーザーさんにとってもいいことだと思いますから。
前作をプレイしていただいたユーザーさんは、
今回も安心して遊んでいただけると思いますし、
前作は遊んでいないという方も、「百鬼討伐絵巻」をプレイしたあとで
前作をプレイしてみよう、と思ってやっていただいても、
それほど違和感はないと思います」

―― 新主人公の魅力の一端がのぞけたところで、
気になるのは前作のキャラクターたち。
「百鬼討伐絵巻」に前作キャラクターの登場はあるのか?

「実際どうなんでしょう(笑)。
ユーザーさんが前作キャラクターの再登場を希望されている、
という部分もありますが、ゲームとして考えた場合、
新しい部分も欲しいなあ、と思っているので、
そのあたりはバランスを考えられれば、と思っています。
まあ、ぜんぜん出さない、ということはないです。
あくまで続編なので、前作と同じことをするのはよくない、と思っているだけで。
ユーザーさんがそういったキャラクターが出てくれないかな、
という要望が強ければ、「百鬼討伐絵巻」にも入れていこうかな、とは考えています」
―― 前作では酒呑童子の人気も高かったことだし。
「個人的にもあのキャラはけっこう好きなので。
見栄えがするというか、わかりやすいキャラクターですよね。
いま作れば、前作よりも力強く、雰囲気のある感じに作れるんじゃないか、
とは思うのですが。興味はあります」

―― 主人公の安部晴明がセリフをもつイベントシーンなどを見ると、
「百鬼討伐」は前作よりストーリー性が強いのだろうか?
という思いが……。

「そこはゲームの自由度というのを壊さない程度に、という感じですね。
あくまで前作に比べるとストーリー性が強い、という程度です。
もともとストーリーが主体のゲームではありませんから。
ですから、「百鬼討伐絵巻」も、キャラクターを通して
世界観を楽しんでいただける、というレベルのシナリオになっています。
その点は、ある程度こちらが狙っていた部分があったのですが、
"ちょっと分かりにくい"といわれた部分が前作ではあったので、
"よりわかりやすく"というよりも、"わかる要素"という
情報を入れていこうかな、と思っています。
前作ではユーザーさんの想像に任せていた部分が大きかったのですが、
その想像がより膨らむような情報を入れていく形で、
ストーリーなりシナリオなりが構成できれば、と考えています。
今回の主人公の安部晴明にしても、前作のライコウと同様、
実在の人物をモチーフにした、という位置付けで、
その人物そのままを再現するわけではないのですが、
その人物のエピソードにまつわるもの、
その人物を想起させるような要素は、
積極的に盛り込んでいこうと思っています。
さらに、イラストやイベントシーンの"将門"というのは
"平将門"がモチーフですし、このいちばん下のイラストは
土蜘蛛退治なのですが、これは頼光四天王の"土蜘蛛退治"が
モチーフになっています。
また、前作では"倒すべき敵"というのが途中まで見えにくかったのですが、
「百鬼討伐絵巻」では、最初から"彼らが倒さなければいけない人ですよ"
というのを見せようと思っています。
その中で将門というキャラクターがいたり土蜘蛛という敵がいたり……
というのを提示していこうかな、と思っています」

―― さて、こうなると気になるのは、
「百鬼討伐絵巻」に登場するはずの新キャラクターなのだが……。
登場しますよね?

「もちろん、出てきます。
安部晴明というキャラクターに絡めて新キャラクターを
出していこうと思っていますし、それに絡むストーリーというのも、
ほかよりちょっと強めにやろうかと考えています。
ですから、そういった意味では、
前作以上にキャラクターは登場させていくことになるかと思います」
―― "将門"も、そうしたなかにおける新キャラクターであるのは間違いない。
ところで、先ほどお話に出てきた頼光四天王といえば、
前作の主人公・ライコウのモチーフとなった源頼光の家臣たちのこと。
これはひょっとして、「百鬼討伐絵巻」にも頼光四天王が絡んでくるのでは……?

「鋭いですねえ(笑)。
右下のイラストにも安部晴明以外の人影が見えますけどね。でもどうでしょう?
イラストを見ながらいろいろと想像してみるのも楽しいですよ」

―― ちなみに、現在の開発状況は?

「70パーセントくらいでしょうか。
大まかな部分はすでにできあがっていて、
動かすことができるほどになっています。
9月下旬の東京ゲームショウでも出展する予定ですので、
楽しみにしていてください」